Aston Martin Press Release

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※こちらの案内は2023年10月04日に公開された内容を更新しています。

アストンマーティンスーパーカーValhalla

フォーミュラの成果と技術的進歩を採用

 

ウルトラ・ラグジュアリー・ブランド初の次世代ミッドエンジン・スーパーカーである Valhalla は、いわば“世界最速を追い求める実験室”であるフォーミュラ 1®での成果を享受します。スピード、信頼性、性能へのニーズを受け、F1®の技術的進歩は日々加速しています。ア ストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ 1®チーム(AMF1)がレースで使用した、実証済みの手法、経験、技術が、未来のモデルを強化するため、アストンマーティン に採用されます。

アストンマーティンのグローバルチーフブランド兼コマーシャルオフィサーのマルコ・マティ アッチは、次のように述べています。 「アストンマーティンのビジョンは、当社の中核製品ラインナップを拡張する上で極めて重要 な、ドライバーにフォーカスしたクラス最高の自動車を作ることです。そのため、当社初の次 世代ミッドエンジン・スーパーカーは、当ブランドにとっても、またミッドエンジンセグメントにとっても、変革をもたらす存在となります。Valhalla は、アストンマーティン・パフォー マンス・テクノロジーズ社(AMPT)を通じて、ロードカーのエンジニアとアストンマーティ ン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ 1®チーム(AMF1)の F1®エンジニアリング技術を統合したアストンマーティン初の共同開発であり、フォーミュラ 1®の技術サポートと専門 知識を活用したアストンマーティンの幅広い実力を象徴するものです。」

アストンマーティンと、FIA フォーミュラ 1・ワールド・コンストラクターズ・チャンピオン シップ TM で 4 位につけている AMF1 との技術的クロスオーバーは、チームのコンサルティング部門である AMPT 社によって促進されています。AMPT 社は、ダイナミクス、エアロダイナ ミクス、およびマテリアルの 3 つの主要開発分野において、アストンマーティンのパフォーマ ンスエンジニアリングチームを直接支援しています。

AMPT 社のエンジニアリングディレクターを務めるクラウディオ・サントーニは、次のように 述べています。
「自動車メーカーにとって、フォーミュラ 1®チームならではのスキルや知識を取り入れることができるのは、大きな利点です。F1®エンジニアは、常に性能を追求して限界を押し広げ、

迅速な問題解決のために様々なツールを開発してきました。この「社内」知識を活かして、 F1®の専門知識をロードカーの開発にシームレスに取り入れることができるのです。」




ドライビング・ダイナミクス

Valhalla は、真にドライバーにフォーカスしたミッドエンジン・スーパーカーであり、車両ダ イナミクスグループは AMPT 社と緊密に連携し、これまでにないドライバーと車との一体感 をもたらすダイナミクスを実現するべく、全力で取り組んでいます。F1®デザインは、シミュ レーションツールを大いに活用しており、シミュレーターで費やす全ての瞬間が進歩につなが るような手法を Valhalla に導入しています。実際、ダイナミックな特徴と車両セットアップの 90%はシミュレーターで完成しており、実際の道路やトラックでは最終的な開発が仕上げられ ています。

AMF1 ドライバーからの貴重なインプットが Valhalla のキャリブレーションに新たな熱量をも たらします。ランス・ストロールやフェルナンド・アロンソのようなエリートレベルのドライ バーのスキルと知識によって、自動車の性能を極限にまで高められ、車両のダイナミクスを次 のレベルに引き上げることができます。

Valhalla のコックピットエルゴノミクスは、フォーミュラ 1®から直接ヒントを得ており、ドラ イビングポジションは、AMPT 社のサポートにより最適化され、レーシングカーレベルのコン トロール性を実現し、ドライビングの楽しさを最大限に引き出しています。電子モジュールを 収納している二重フロアによってドライバーのかかとの位置が高くなっており、また独自のカ ーボンファイバーバケットシートは、ロードカーの快適さを保ちつつも、AMR23 レーシング カーに近いシートポジションを実現するため、大きくリクライニングすることができます。こ れによってルーフラインを低く保ち、ドライバーと車の真の一体感が生まれます。

 

エアロダイナミクス

AMPT 社とアストンマーティンのエアロダイナミクスの専門家がロードカーとフォーミュラ 1® において各々培ってきた専門知識を結集することによって、ラグジュアリーと性能を完璧に融 合した、非常に魅力的なロードカーを作り出す機会がブランドにもたらされました。ダウンフ ォースの大部分が生み出される AMR23 のアンダーボディと Valhalla のアンダーボディは、い かに多くの F1®技術がこの新しいスーパーカーに投入されているかが分かります。

Valhalla でのエアロダイナミクスアプローチは、F1®カーと同じ方法、すなわちボディ形状の あらゆる要素を用いてダウンフォースを生み出し、空気抵抗を最小化することから始まります。 しかし、Valhalla は、F1®の規則に縛られてはいないため、自動車のフロントとリアにアクテ ィブエアロダイナミックシステムを搭載することができます。これにより、時速 240km で 600kg 以上のダウンフォースが生まれます。このおかげで、Valhalla は常にフロントとリアの ダウンフォースを調整し、グリップ、バランス、整合性を最大化したり、路面状況や選択した ドライビングモードに応じて空気抵抗を最小化することができます。ドライバーは、シャシー からタイヤに至るまで、Valhalla のパフォーマンスを最大限に引き出すことができるのです。

AMR23 レーシングカーと同様に、Valhalla は、フロントおよびリアにマルチエレメントウイ ングを採用していますが、フロントウイングは大部分が見えないようになっています。フロン トウイングは、空気抵抗を減らすため、フラットに DRS ポジションとすることも可能である と同時に、角度をつけてフロントタイヤのすぐ前で大きなダウンフォースを発生させることも できます。フロントスプリッターの後ろの底面にはくぼみがあり、これがダウンフォースを生 み出す低圧帯となります。この機能も、完全な車両アクティブコントロールアルゴリズムの一 部としてコントロール可能です。

マルチエレメントリアウイングは、フラットに配置され、車の美しいラインを描くとともに、 最小限の空気抵抗で基本的なレベルのダウンフォースを実現します。しかし、トラックモード では、ウイングがエアフローに高く上がり、最大限に効果を発揮します。そして、車がウイン グの迎角をアクティブに制御し、最大限のダウンフォースと DRS の間で常にバランスを取っ て、パフォーマンスを最大化します。

F1®のボルテックスジェネレーターとエアロ機能から着想を得て、ミニディフューザーとして 機能する小型溝付ルーバーをリアタイヤの前方に配置したことで、空気流を自動車の下から上 方へ排出し、ダウンフォースを高めることが可能になりました。ルーフに搭載されたシュノー ケルは、F1®と同様にエンジンインテイクに空気を送り込むだけでなく、ターボインタークー ラーの冷却ダクトにも給気し、エンジンのホット V ターボ構造を冷却します。

AMPT 社と共同の F1®における数値流体力学(CFD)と風洞試験の膨大な知識は、ロードカー のエンジニアに大きな恩恵をもたらしました。AMR23 レーシングカーの開発に使用されたも のと同じエアロダイナミックツーリング技術が、Valhalla のエアロダイナミクスの開発にも使 用されています。

Valhalla のエンジニアリングチームは、AMPT 社と直接協力し、モデルセットアップに関する 学習を含め、AMF1 チームと同じ CFD ソフトウェアを活用しました。フォーミュラ 1®の場合 と同様に、Valhalla は、最低地上高感度、ロール・ピッチ・ヨーの影響、ステアリングなど、 同じプロセスを研究し、スケールモデルとムービングベルト風洞を使用して車両を開発しまし た。

 

マテリアル

AMPT 社と AMF1 チームは、長年にわたりカーボンファイバーで車を製造してきたため、マテ リアルについて理解していないことはほとんどありません。ただし、999 台のカーボンファイ バーモノコックを製造するというアイデアは、これまで 1 シーズンあたり数点しか開発してこ なかったチームにとって新しい挑戦です。AMPT 社のカーボン技術チームは、F1®で進化した アイデアを発展させ、同じアプローチを Valhalla に応用すべく取り組んでいます。衝突試験の ような破壊的プロセスを開始する前に脆弱点を特定することが大きなメリットとなる剛性・耐 衝撃性試験のシミュレーションなどの分野では、これが非常に有効です。

Valhalla の心臓部の構造は、最も軽量でありながら最大限の剛性を実現するように作られてお り、ミリ単位の精度で最大限の制御を保証します。AMPT 社が設計・開発し、モータースポー ツの最高峰である F1®の知識や技術力を応用した Valhalla は、最先端の複合技術から生まれま した。

カーボンファイバー素材を複雑かつ絶妙に組み合わせた Valhalla のカーボン構造は、アストン マーティンの開発した独自の新技術を用いて生み出されました。構造の上部・下部は、樹脂ト ランスファー成形(RTM)プロセスと F1®由来のオートクレーブ技術を組み合わせ、カーボン ファイバーから成形されています。その結果、ドライバーとパッセンジャーのエルゴノミクス を損なうことなく、クラス最高水準のダイナミック構造特性を備え、卓越した安全性を実現す る、極めて高い剛性と強度を備えた、軽量な単一のパッセンジャーセルが誕生しました。

アストンマーティンが内燃機関からハイブリッド、そして完全な電化へ移行するにあたり、 Valhalla はその最前線に位置しています。エンジン管理グループでは、Valhalla のビスポーク のツインターボフラットプレーン V8 エンジンについて、性能の最適化や効率の最大化など多 くのことが研究されました。このエンジンはアストンマーティンにこれまで搭載された中でも、 最も先進的で反応性が高い高性能の V8 エンジンであり、3 基の電気モーターを組み込んで、 1,012 PS ハイブリッド全輪駆動ハイブリッドパワートレインを作り出すことができます。

Valhalla は、フロントアクスルに搭載した 2 基の電気モーターにより、四輪駆動が可能である だけでなく、エンジニアがそれぞれのフロントタイヤに適用するトルクを完全に独立制御する ことができます。これはトルクベクタリングと呼ばれる技術です。トルクベクタリングにより、 旋回時のステアリングレスポンスや、コーナーでのグリップ、コーナーを抜ける際のトラクシ ョンが向上します。コーナーのあらゆる局面で、ドライビングエクスペリエンスとパフォーマ ンスが向上します。また、フロントの電気モーターは、逆の機能を持っており、リアトランス ミッションの軽量化を実現しています。3 つ目の電気モーターは、トランスミッションに組み 込まれており、ICE エンジンのスターター/ジェネレーターとして機能するのに加え、リアタ イヤに追加的なパワーを供給します。

アストンマーティン製品開発担当ディレクターのカルロ・デラ・カーサは、次のように述べて います。
「AMPT 社の AMF1 チームスタッフの知識と経験を当社のロードカー開発チームのスキルやノウハウと組み合わせることにより、F1®から直接学んだ技術をスポーツカー開発に活かすことができました。Valhalla の目標は、パフォーマンス、ダイナミクス、ドライビングの楽しさに ついてクラス最高水準を打ち立てるスーパーカーを生み出すことです。Valhalla では、“ジェ ントルマン・ドライバー”とレースサーキットのプロフェッショナルドライバー間のギャップ を埋めるためにアクティブテクノロジーを用います。この驚異的な車を開発する上で、 AMF1®チームの知識にアクセスできたことは、私たちにとって大きな強みとなりました。」

年内に初のプロトタイプが路上での走行を開始し、2024 年には Valhalla の生産開始を予定し ています。

開催ディーラー
Dealer

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